ハイランドゲームズとは
ハイランドゲームズは、14世紀初頭に英国スコットランドのハイランド地方ではじまったもので、村の力自慢たちが丸太なげや円盤投げなど独特の伝統的な競技で優劣を争った大運動会です。これにスコティッシュダンスやバクパイプ演奏のコンクール、さらには屋台なども加わり、ハイランド地方のみならずスコットランド全土の各市町村で年に一度、開催されるようになりました。
「ハイランド・ギャザリング」と呼ばれることもあり、スコットランドの人々にとっては、家族総出で村を挙げて楽しむ戸外のレクリエーション・イベントとなっています。また現在では、アメリカ、カナダ、そして世界各地でも主にスコットランドにルーツを持つ人々によって開催されています。
スコットランドの伝統では、ハインランドゲームズは、一家そろって参加できるお楽しみの日。お父さんが力比べで汗を流した後にビールを流し込んでいる最中、お母さんはブースを巡ってお買い物を楽しんだりダンスを眺めたり。子供達は子供達で元気いっぱいにかけっこしたり跳び比べしたり、兄弟や友達の頭を枕で叩いたりしています。
もっとも有名なハイランドゲームスは、毎年夏にスコットランドのバルモラル城で休暇をすごすエリザベス女王が観戦される『ブレイマー・ギャザリング』でしょう。各氏族のタータンをまとったバグパイパーたちの行進は、まさに圧巻です。
ハイランドゲームズで演奏されるバグパイプとは
バグパイプはかつて、スコットランド人にとって強力な武器でした。それは、本当の意味での武器ではありません。しかしパイパーは戦場において、非常に大切な役割を果たしていたのです。
隊列の先頭に丸腰で立ち、敵の目から逃れられなかったため、パイパーは格好の標的になりました。しかし、彼を弓矢で射抜いたところでなんの益にもなりませんでした。なぜなら、パイパーが倒れると、そばにいた兵士が武器を捨ててすぐにバグパイプを拾い上げ、演奏を続けたからです。これには二つの効果がありました。
ひとつは、新しいパイパーが死んだ友人の志を継ぎ、さらには自らの死をも覚悟して、かつてないほどの勇気を胸にさらに速いテンポで吹き鳴らし、そのことが味方の兵士たちの士気を大いに高めたと いうこと、そしてもうひとつは、何人のパイパーを倒してもバグパイプの調べがやまないことから、敵が相手の兵士たちにはなにか超自然的な力が宿っていると恐れたということです。 恐怖心を敵に植えつける―。これ以上に効果的な戦略がほかにあるでしょうか。だからこそ、氏族の長にとって、パイパーは自分の軍団に最も必要な戦士だったのです。 優れたパイパーがいればいるほど、その氏族が戦いに勝つチャンスは大きくなりました。そのため、領主が自分の身分に見合ったパイパーを雇うための場として、バグパイプの競技会が開かれるようになりました。
このような歴史があるからこそ、現在でもハイランドゲームスでは、各競技者の士気を高めるためにバグパイプ演奏の競技会が催されます。
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ハイランドダンスとは
ハイランドダンスはスコットランドの伝統舞踊のひとつで、バグパイプの調べにあわせて、腕をあげながら飛び跳ねるように踊るのが特徴です。基本的にはソロダンスですが、4人で踊るものもあります。現在ではほとんどが女性ダンサーですが、もともとは男性、とくに兵士の踊りでした。今では競技ダンスとして、スコットランドはもちろん世界中でコンクールが開かれています。ハイランドダンスの種類には、主に以下のものがあります。
● フリング Fling
ハイランドダンスの基本的なステップが含まれているので、最初に習うダンスです。兵士たちは、出陣前に勝利を祈願し、平らに寝かした丸い盾の上で、真ん中に突き出した
15センチほどの槍の上を跳び越えながら踊りました。ステップを踏み下ろす位置は毎回同じ場所でなければなりません。シンプルなステップですが運動量はかなりのもので、現在でもスコットランドの軍隊で体操として採用されています。
● ソード Swords
勝利のダンスです。征服した敵から取り上げた剣を2本、十字の形に地面に置いて勝利のしるしとし、その十字の上を足が剣に触れないように踊ります。正確さとテクニックが要求される難しい踊りです。
スコティッシュ・リルト
● ショーン・トゥルース Seann Truibhas
Seann
Truibhasとはゲール語で「はき古したズボン」という意味。 かつてスコットランドがイングランドと連合化した折り、キルトの着用は禁じられ、男性はズボンをはくように強制されました。ショーン・トゥルースは、当時の男性がズボンに対して持っていた憎しみを踊りで表現したと言われています。
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フラハン Hulachan
ハイランドリールというダンスで、通説では、ある氏族がディー川沿いにあるタロッホ教会で経験した出来事が始まりと言われています。ある寒い日曜の朝に牧師が現れず、ずっと待っていた礼拝の参加者たちが凍えてしまわないように輪になって踊ったのです。
● アイリッシュ・ジグ Irish Jig
アイリッシュダンスはアイルランド特有のものと思われがちですが、そうではありません。スコットランドでも同様に伝統的な踊りのひとつであり、人気も高いものです。
● ホーンパイプ Horn
Pipe
フルートのような笛の音にあわせて踊るダンスで、船乗りたちに愛されたため、ロープを放り投げたり、マストに登ったり甲板を横切ったりという、船の上での動きが踊りの中に取り入れられています。