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スコットランドの代表選手、キルト(kilt)です。
かの国の男性が腰に巻いて身につける (決して「スカート」といわないで下さい。)、服のことです。
キルトの元祖は、高地地方の男性が着ていた 「グレート・ハイランド・キルト(the Great Highland Kilt)」です
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タータンを織り上げた1枚の大きなウール地のことを プレイド(plaid)というのですが、
このグレート・ハイランド・キルトは、そのプレイドの両端の お腹にあたる幅の分だけを平らなままにしておいて (「エプロン」といいます)、
両腰からお尻にかけてはプリーツにたたみ、 ウェストをベルトで縛ってプリーツとすその長さを固定し、 ベルトの上側に出た部分は肩に回して
落ちないようにピンやブローチで留めたスタイルです。
「ベルティッド・プレイド(Belted Plaid)」とも呼ばれます。
映画『ブレイブハート』をご覧になった方は、 主人公たちの格好を思い出してください。もともとが1枚のウール地ですから、 雨が降ったり寒かったりしたときには
肩のピンをはずして頭や上半身に巻きつけたり、 寝るときには毛布にしてくるまったりと、 なかなか便利だったようです。
また、「キャンディ・キャンディ」では丘の上の王子様やアンソニーがキルトを着てバグパイプを演奏しています。
*Sin-Cosではキルトのレンタル・販売をしております。 |
現在のキルトは、グレート・ハイランド・キルトの ウェスト位置のベルトから下の部分を、 プリーツが取れないように腰骨の辺りまで縫いつけたものです。
フルラウンドのプリーツではなく、お腹にあたる部分は やはり平らなエプロンになっています。 巻きつけるので、両端のエプロンが前身ごろで重なりあいます。
プリーツの折り方には2つの種類がありますが、 一般的にはタータンのパターンが崩れないようにたたみます。 つまり、プリーツの状態でも、タータンの模様がわかるのです。
そのため、たたみこむ部分が多く、プリーツが縫いつけられた 腰のあたりはぶ厚くなるので、真冬でもとても暖か。 布地も長さが必要で、普通の日本人男性なら約8メートル、
恰幅のいい人になると13メートル近く使わなければなりません。
もうひとつの折り方は「ミリタリー・プリーツ」と 呼ばれているもので、その名のごとく、 はじめは兵士用のキルトに使われました。 タータンのセットの縦模様に沿って折っていくたたみ方で、
特定の部分だけが外側に出るので、 プリーツの状態ではタータンの模様はわかりません。 また、折る位置を変えることで 同じタータンでも違った表情にすることができます。
もしも、日本でキルトショップに行くことがあったら、 どちらのプリーツで作られているか、チェックしてみてください。 そんなことから、お店の人との会話も弾みそうです。
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キルトの着つけの手順と必要な小物は、1種類だけ揃えればいいというわけではありません。
前述の通りにタータンは一族の家紋のようなものですので、 結婚式や晩餐会といった正装としても、カジュアルな日常着としても 着られるため、上着や小物の“格”でTPOに合わせるからです。
キルトを着るときに注意しなければいけないのは、 ひざまずいたときに裾が地面に触れないよう、 膝頭の上あたりまでの丈に調整すること。
あつらえたキルトなら、大体ウエストの約5センチ上に キルトの上端がきます。もちろん、 プリーツのない平らな部分(エプロン)が前です。
つぎに『キルト・ピン』を。
これは飾りの美しい大きな留め針で、 エプロンの端近く、膝から少し上のあたりにつけます。
ただし、上下に重なっている2枚をいっしょに留めつけては、ダメです。 そうするのは、女性がキルトを着る場合です。 男性は、下のエプロンが両脚をすっかり隠すので、
上のエプロンにだけ留めておけば、めくれないよう、 ちゃんと重石の役目を果たしてくれます。 |
靴下はカッコよく着こなすためのポイントです。
キルトの着つけはバッチリ決まりました。では、つぎは靴下です。
色はやはり、白がいちばん無難でオールマイティーでしょう。
茶色や緑といった色靴下は昼間の普段着用やスポーツのときに、 その他の色は、バグパイパーやダンサー用と考えていいと思います。
手編みで暖かな靴下をカッコよく見せるのは、履き方です。
一度全部たくしあげてしまってから、高さを決めます。 膝の外側に指をあててみてください。少し出ている骨があります、この骨から指3本分下の位置が、靴下の高さ。
ちょうどふくらはぎのいちばん太い部分のはずです。
なぜこの高さかというと、膝が見えて、しかも男らしいからです。 これより高いと、“タイツを履いたおばあさん”みたいに 見えてしまうので、要注意!
でも、靴下を折り返す前にしておくことが、ひとつあります。 『フラッシーズ(Flashes)』というリボンのついた靴下留めを、 折る位置のすぐ下にはめましょう。
すこしきつめが、コツ。 色はさまざまですが、タータンに合うものを選んでください。 そして、そのフラッシーズを見せる位置が、また決められているのです。
まっすぐに立った姿勢を時計にたとえて、前が12時、後ろが6時、 右が3時、左が9時とすると、右脚のフラッシーズは1時から2時の間に、
左脚のは10時から11時の間に来るようにしてください。 どちらも、いま言った位置より12時に近くならないこと! 位置が決まったら、上から靴下を折り返してゴムバンドを隠します。
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「つぎは靴だな」と思ってるでしょう?
いいえ、 『スキヤンドゥ(Sgian Dubh)』です。スペルでおわかりのように これもゲール語で、「黒い短剣」という意味。
かつてハイランダーたちが日常で短剣を使っていたことの名残で、 キルトを着たときには欠かせません。
もちろん、現在ではほとんどが本当の刃物ではありませんが、ハギスのセレモニーで ハギスを刺し貫くナイフには、このスキヤンドゥが使われます。
右脚の靴下の中、ちょうど先ほどの骨の真下くらいに挿しておきます。 では、靴『ギリー・ブログーズ(Ghillie Brogues)』です。
黒革の編み上げ靴で、靴紐を穴に通して締めてゆき、 いちばん上まで来たら足首の前で交差させてから後ろへ回し、 そこでも交差させて、くるぶしの上あたりで蝶結びにします。
この靴の名称も、もちろんゲール語から。 「ギリー」は靴紐の間から足の甲が見える靴のこと、 そして「ブローグズ」は、一般的には「ウィングチップ」と呼ばれている、
つま先から両サイドに向けて点々と穴を開けたスタイルの正式名称です。
ブローグズは、いまとなってはただの装飾ですが、 昔のスコットランドではどうしても必要なものでした。というのも、 川を渡った後、歩きながらこの穴から自然に水が抜けていったからです。
スコットランド人たちが新大陸に上陸したころ、 ネイティブ・アメリカンたちがこのアイディアをいたく気に入り、 自分たちもこんな靴が欲しいと思ってその名をたずねたところ、
「私の靴」とゲール語で答えられ、 それがモカシンになったという説もあります。
これで、 立派なスコット・ジェントルマンの誕生です。から、 いかにルールが細かく決められているか、想像できたでしょうか? そう、スコットランドは服装でも、奥が深いのです。
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